人間万事塞翁が馬
2001/01/28

昔ロシア(当時はソビエト)に、シュスタコーヴィッチという作曲家がいました。社会主義リアリズムという人民に分かりやすい作品を作るのが芸術家の役目、というお題目としては、もっともな考えなのですが、実際は芸術作品を作る過程であれこれ口出しされ、当局から認められた作品のみが発表できるという、創造性をスポイルするモノでした。

こんな体制の元でシュスタコーヴィッチは20世紀中頃の作曲家としては、異例の現代音楽らしくない19世紀的な曲を作り、15曲も交響曲、という20世紀には珍しくなった古典的形式の曲を残しています。 同時代の批評では、「前衛さがない」「新しい試みがなく退屈」などとも言われたのですが、今となっては「現代音楽」ではなくクラシックの作曲家として頻繁にオーケストラのレパートリーとなり、CDも数多く出ています。

作風を強制されたことは間違いなく不幸なことですが、結果として今でもよく聞かれる作曲家になった。もちろんシュスタコーヴィッチが才能と高い能力をもつ作家であったからこそ可能だったのでしょうが、何が幸いするかわからんものです。

…とはいえ、現役の音楽家としては、生前に評価されたいですね。


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