テルミン
2001/05/01

1920年代にロシア(当時はソヴィエト)のレニングラード(今のサンクトペテルスブルク)の科学者レオン・テルミンが、四角い箱の上にアンテナが二本、角のように生えている電子楽器「テルミン」を発明しました。19世紀末から20世紀初頭の電子楽器の先駆け(テルハーモニュウム)に比べるとコンパクトで、テーブルの上に置くことの出来るものでした。

テルミンの発音原理はきわめてシンプルで、サイクルの違う2つの音波を作り、一方のサイクルを変化させることによって音程を変化させます。今のシンセサイザー(アナログ)は、1つのサイクルの音波を変化させることにより音を作る低周波発振によるものですが、テルミンでは常に一定のサイクルを発振する2個の高周波の発振器を持っていて、この一方を変化させることによりパルスを発生させる(=人が聞くことの出来る音を合成する)ものでした。

テルミンの演奏風景はまことに奇妙なもので、真空管に直結したアンテナに手を近付ければ音程が上がり、遠ざければ音程が下がるという、アンテナの周りで腕をぶらぶら動かすという演奏なんだかダンスなんだかわからない動作を強いられるものでした。演奏法の欠点として、音を切るスタッカートが苦手で、つねに連続的なグリッサンドがかかり、単音でレガートな曲しか演奏できないことがあげられます。

ただ名人の手にかかるとそうでもなかったようで、発明者のテルミンの娘(クララさんという人)はこの楽器で大抵の曲、たとえばサンサーンスの「白鳥」なども演奏できたといいます。

で、ながながとテルミンの話を続けていたのは、今日生まれて初めて実物に触れたからでした。友人でバンド「イオス(レーベルのほかにバンドとしても存在しています)」の大成さんが思わず買ってしまったモノで、文章でのイメージよりはゲテモノっぽくない楽器でした。感覚的に弦楽器にちかく、音程が低いと手を動かす幅が広く、高いと狭い、というのはチェロなどの感覚に近いものです。


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