スティーブライヒが6年ぶり(2001年)に新作CDを出しました。ライヒが何物かは、こちらを参照ください。
このアルバム「Triple Quartet」は完全な新曲が1曲であと3曲は旧作のアレンジなのですが、ほぼ新曲に聞こえるみごとな出来です。
1曲目のTriple Quartetは、クロノスカルテットの為の新曲で、弦楽四重奏かける3なのでこのタイトル。演奏は弦楽四重奏2回分をテープにとって行います。
印象ですが、ライヒらしくない曲でした。随所にバルトーク的な響きがし、2nd
movementでは主旋律対ハーモニーという構造の部分もあります。そのせいもあって非常にメロディックですね。
知らずに聞かせたら、ライヒとは気付かないかも知れません。同じ弦楽四重奏、クロノスカルテットの演奏ですが、ディファレントトレインとはまったく違う作風、といえると思います。
メロディックなTriple Quartetの後に続くこの「ectoric guitor phase」では、ディストーションをかけたギターの刻みからスタートします。最後までこのままなのですが。一瞬ハードロックのイントロのようなサウンドがしますが、これは1967年のヴァイオリンフェイズの改作だそうです。
ライヒのフェイズシリーズは、おなじフレーズを弾く複数のパートがだんだんズレていくという方法論でできています。このectoric
guitor phaseでは4つのエレキギターパートが同じフレーズをだんだんずらしていきます。「現代音楽です」といってこの曲を聞かされたら驚くだろうなあ。非常にポップなライヒらしい曲、アレンジです。
次の「Music for Large Ensemble」はライヒには珍しいオーケストラ作品もともとのオリジナル(1977)では室内楽色が強かったのですが、今回の指揮者アラン・ピアソンがオリジナルスコアに手を入れてストリングを増やしたりして管弦楽色が強くなったようです。
私見ですが、ライヒはあまり管弦楽は得意ではなく(興味がないのかも知れない)ラヴェルのような華麗なオーケストレーションは望むべくもないです。ま、ラヴェルとは違い過ぎる、というのなら、20世紀を代表する作曲家武満徹さんと比較してもオケに冷淡な印象があります。武満徹さんは生前のインタヴューでも管弦楽法には自信があると言ってますし、事実すぐれた管弦楽曲が多いです。
当然もともとのコンセプトの違いはあるのですが、2管編成のオケが、全員ユニゾンで同じことをやっている、というのはどうかな、と思います。
ま、ライヒファンであるがゆえのグチ、と理解下さい。
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