私はカラオケは嫌いでしたし、今も嫌いです。なぜ嫌いか、とつらつら考えたら、2つのことが思い当たりました。
1つは、「音楽家のコンプレックス」です。山下洋輔さんもコラムで書いていましたが、ヴォーカリストは一番偉い、のです。ポピュラー界でのスターは議論の余地なくメインヴォーカルで、音楽業界の稼ぎ頭でもあります。
クラシックでも、あのギャラがもっとも高い指揮者が奉仕するのは、オペラであり、プリマドンナであり三大テノールです。
器楽の人はいわばヴォーカルから落第したわけで、なんとなく引け目を感じている。
その上、うっかり歌ったときに「ピアニストの割には歌が下手ですね」などどいわれてしまったらますますコンプレックスに拍車がかかってしまいます。
こうなると「金輪際、人前で歌わない」と考えてしまうわけで、日常場面
ではカラオケが一番危ないわけです。
第二には「ハイアート」の驕り、です。 マンガはかつて「漫画」と書かれ、「本画」であるところの洋画や日本画の下のモノとされました。しかし浮世絵同様海外での評価は、「マンガ」の方が上です。国内では「大衆文化」として見過ごしたり、下賎なもの、と見てしまいがちですが、「カラオケ」も日本を代表する「文化」であることは間違いない、でしょう。
第一の「器楽奏者のコンプレックス」はともかく、第二の「ハイアートの驕り」は問題なので、私も心を入れ替えてカラオケを許すようになりました。
私がよくやるカラオケの楽しみは「ケムに巻く」ですね。
最近も40〜50代の人の集まりで「不思議色ハピネス(魔法のスターマジカルユミ主題歌)」を歌いました。これがヤマトだガンダムだとなると知っている人がいるかもしれないので、このくらい遠いほうがよろしい。
まともな楽しみ方は「うまい人にどんどん歌ってもらう」ですね。何曲か歌うのを聞くと、その人の好み、嗜好が分かるので、その人の嗜好と、こっちが聴きたい歌のバランスをとってリクエストする。うまくいくと会が盛り上がって良いものです。
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